2014年9月3日水曜日

エリア担当を民生委員に

先ほど、福祉政策課に「民生委員候補者推薦調書」なる書類を提出してきました。言うまでもなく、町会から民生委員を推薦するものですが、実はこの一年わが町会では民生委員不在の状態が続いていました。
このことをふまえて、民生委員という存在そのものが曲がり角に来ていること、そのために市として考えなければならないことをまとめてみたいと思います。

民生委員とは広辞苑によれば、「社会福祉の増進のために、地域住民の生活状況の把握、生活困窮者の保護・指導、福祉事務所が行う業務への協力などを職務とする者。厚生労働大臣の委嘱により市町村・特別区におかれる。児童委員を兼任。」という存在で、いわば特別職の国家公務員です。
戦前の方面委員を引き継ぐ、身の回りに福祉の窓口を置く制度ではありますが、個人情報保護法という誤解されやすい法律によって近隣の世帯状況すら情報提供されなくなり、必ずしも専門職ではない人物にわざわざ相談をするまでもないという風潮が高まって、自ら進んで情報収集するのも難しい状況下で、本来の目的とする活動をするのは大変なことです。
わが町会の場合は、昨年の一斉改選にあたって現職にあった方から辞退されたので推薦について話し合ったものの、後任を受けてくださる人が見あたらず、一方で不在となった場合の不便もないのではという結論になって推薦を見送ったのですが、実際のところこの一年間の不在で困ることはなかったように思います。
それでも、相馬地区の周りの民生委員からの働きかけで再任に応じてくださることになったので改めて推薦させていただきましたが、この職務をこなすことができる方であっても、年額4万円弱の報酬を受けられるにしても続けたくなくなるようなプレッシャーのかかる仕事を、次は誰がやってくれるのかは不安が残ります。

ところで、民生委員を置くことになっている町会では、市の民生委員推薦会に推薦するにあたって「民生委員候補者選定委員会」なるものを町会長以下5人以上(うち女性2名以上)で組織して選定することにされています。
これは、ある意味では自主独立とされている町会に対して上から目線で組織を強要するものであり、なおかつこれを主導することとされている町会長は以前指摘したように市から何の権限も認められていない立場だけに、町会が苦労して推薦すべきものではないと思っています。
この状況で民生委員の欠員というのが問題とされていますが、この一年間次の期日までに推薦をという書類が送られてくるだけで何とか推薦をという電話一本もないのをみると、担当課である福祉政策課では真剣に欠員を埋めようという姿勢はないように思います。
実際には、市内でも町会そのものが解散するケースも出てきているだけに、市そのものが責任を持って選定を行うべきだと思いますし、より複雑化した多問題家族へのかかわりや災害時の要援護者救助といった困難な役割を専門家ではない市民に委嘱するというあり方そのものを見直す時期に来ていると思います。

そこで私から提言したいのは、エリア担当となっている職員をそのエリアの民生委員とすることです。
これには公務員の兼任という問題があるのですが、個別特別な存在ではなく市全体で変更するのであれば突破できることだと思いますし、何をしているのか見えない今の立場よりも具体的にエリアとかかわる職務ができますし、何より公務員として個人情報保護にも配慮できる存在であるわけですから、適任であると思います。
これが実現すれば、一定のキャリアを経た市職員は必ず民生委員という福祉の総合窓口をエリアを通じて経験することになり、その後の仕事においても福祉や地域への視点を持って取り組むようにできるわけです。
まずは、欠員のあるエリアからでも試行してみれば、本来業務とエリア担当のワークバランスを測ることもできるでしょうし、それが民生委員制度に責任を持っている市としてやらなければならないことだと思います。

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