2014年9月5日金曜日

あえて、市民自治条例への私見

9/2に自治基本条例の素案を示されていた市民検討委員会からの答申があったことが地元紙で報じられていましたが、この条例を正当性がないもの外国人参政権を認めるものとして猛烈な批判を続けている市議のBlogなどから火がつき、右翼的ジャーナリストからも攻撃の的にされています。
ほとんどの市民の皆さんには理解しづらい、そしてあまり関心のない問題だと思いますが、私見を求められてもいますので、あえてこの問題をまとめておきたいと思います。

まず、これから条例制定までの流れをお知らせしますと、答申案を公表した上で議会との意見交換・パブリックコメントが行われた後に最終案がまとまり、それを3月定例会に議案提出して採決となる運びです。
答申案はまだ公開されていませんが、諮問された素案に添付されている資料を見ても、住民投票にかかわる外国人参政権の問題に攻撃の的が集中していて、本来の自治をどう築いていくかということがないがしろにされていることを残念に思います。
また、この件に関して葛西市長が答えないという批判を受けて、上記リンクには外国人参政権に関する市長見解がありますし、先日の町会連合会研修の際に検討委員会の佐藤委員長にも直接質問して確かめていますが、住民投票を行うことは自治基本条例で定めても、どのような条件で実施するのかは今後制定する住民投票条例で定めることで意見集約がされていますし、投票結果そのものも尊重するということでとどまっているのですから、心配には及ばないと思います。
このことには目も向けずに外国人排斥のアジテーションをするのはナンセンスですし、自治基本条例に住民投票条項を入れるか入れないか、どのような住民投票条例を制定するか、さらには住民投票にかけるかどうかも議会の議決を経ることですから、市議であるならば議場で堂々の論陣を張ることで自ら恐れることを防ぐのが本分だと思います。

では、おまえはどうなのだということになりますから答えておきますが、私は一般永住者および特別永住者として認められている人であれば、立派にその自治体を構成する市民だと認めるべきだと思いますし、その帰結として国ではなく当該自治体に関することであれば投票権を認めていいと思います。
例えば、ワールドカップの際に話題になった群馬県大泉町は約1割がブラジル人だということですが、これだけの比率を占めている人たちの声が反映されないよりは、同じ町の人間として共存共栄を進めやすい仕組みを考える方が理にかなっていると思いますが、反中反コリアの人たちからはこのような事例に対する意見を聞いたことがありません。
それらの人たちは、外国人参政権を認めたところには大量移民が送りこまれて乗っ取られるとあおりますが、認めているという自治体が現実にあるのにそれが実行されていないような陰謀論を振り回すことの意味がわかりません。
これは、私自身が大学時代にどちらかといえば民主化の側に立っていた中国からの留学生と親しくしていたことや、ハングルを話せない在日3・4世のコリアンと一緒に学び酒を酌み交わしたシンパシーと、明治時代の江華島事件から太平洋戦争に至るまでの侵略の歴史を反省するからこその私見ですが、歴史認識問題はさておいても国という想像もつかない存在よりも日常で接する韓国籍の友人との関係を大事にする人の方が普通なのではないでしょうか。

何はともあれ、このことで自治基本条例に関心が集まり、市民とは誰かを考えるきっかけになった上で、市内に住む永住者との親交をそこなうことなく、弘前市が近隣諸国との友好を深めていくことを望みます。

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